泣けます

ひさかたぶりに仕事場に行ったら、机の上に文庫本が。ラ・ロフシュコー「箴言集」二宮フサ訳。こんな本、いつ買ったのか、覚えがありません。従妹にカギを貸して「いつでも出入りしていいよ」と言ってあるので、彼女が置いたのかもしれません。
でも、ペラペラとページをめくってみると、どこを読んでも合点が行くことばかり。全部が一行ずつですから、意味が一目瞭然。簡潔、なのに深い。よく知られている一句は「我々の美徳は、ほとんどの場合、偽装した悪徳に過ぎない」ですって。仰る通りです。
いちばん考えさせられるのが「自然にみえたいという欲求ほど自然になるのを妨げる」。仰る通り、ていうか、悩みをバシッと言い当てられた感じです。だいたい「私らしく」ということが、どうすることなのか、よくわかりません。アイデンテイテイーとか、なに、と。
自分らしいって、意外と自分ではわからないものです。「貴方らしいわね」と人から言われても、「え、そうなの」と思いますし。だから「私らしく」なんて思うことが、すでに無理をしているということですよね。じゃあ、どうすればいいのよ、と切れたくもなります。
そんなとき「運と気質が世を支配する」という一文が目に留まって、笑ってしまいます。友人で資産家の娘がいて、マンションも買ってもらえてお店も出させてもらえて、それがなんか自己嫌悪、という人がいました。「それ運じゃん、気にすることないよ」、と励ましました。
ほんと、運て人生を支配するけど、それが悪いからって人格をねじまげちゃあいけないよね。一つ一つ、立ち止まって自分と照らし合わせる、面白い本です。モンテーニュの「随想録」も、読み返しましょう。

いらない参考書の処分で、賢くお小遣いをもらう買い取り方法!☆参考書の処分